「資金計画」に関する書籍をはじめ、様々な情報が巷に氾濫しています。
正直な印象は、 「どれをとってもあたらずしも遠からず」という感じです。
その情報もその「核心」については明確に書いていません。
実際に購入された方の中で、 年収350万円で自己資金30万円、年齢25歳の方もいます。
購入されたのは新築住宅です。
普通の資金計画では到底無理な話です。
でも本当に購入できたのです。
これが、雑誌等の情報ではまず買えるわけない人ですね。
このように資金計画で色々と言うよりも 家が欲しいという「情熱」が大切だと考えています。
まず、融資について見ていきましょう 。
・金融機関
住宅ローンを商品として持っている金融機関はたくさんあります。
① 住宅金融支援機構 (旧住宅金融公庫)
民間金融機関と提携した長期固定金利型住宅ローン
【フラット35】を提供しています。
言わずと知れた旧公庫です。
国家が国民の住宅取得のために資金を融資する制度です。
いろいろと問題も指摘されていますが、公庫は誤解されていることがあります。
名称は「住宅」金融公庫、 つまり「建物」に対して融資を行うのか「公庫」です。
「土地」に融資をする場合は金利が異なり、 また貸し出し金額も少ないのです。
新築マンション等を購入する場合は有利ですが、
土地から購入する場合は、少し困りますね。
公庫は国家の事業ですから、あまり差別なく、
規定を満たしていれば、お金を貸してくれます。
② 年金財団
年金財団による融資です。
現在では金利が高く、利用者も少ないのですが、
年金に加入している人であれば、規定を満たせばお金を貸してくれます。
③ 財形住宅融資
公庫による融資の一つで、会社等で一般財形貯蓄、
住宅財形貯蓄の積み立てがある人は4000万円を上限として
積立額の10倍まで低金利で融資してくれます。
こちらは土地も含めての融資ですし、
金利も現在では比較的低くなっていますのでお得かも知れません。
④ 地方公共団体融資
現在、お住まいになっている場所や勤務先の地方公共団体によっては、
住宅融資をしてくれる場合があります。
役所にて確認する必要があります。
⑤ 都市・地方銀行
「銀行」です。
今では、公庫をしのぐ条件でお金を貸し出しているところです。
公庫の代理店でもあり、住宅ローンのノウハウがあるので、
現在ではほとんどの方が銀行の住宅ローンを利用しています。
⑥ 信用金庫、信用組合
信用金庫、組合も銀行とほぼ同じ内容です。
場合によっては 都市銀行よりも有利な条件で住宅ローンを組むこともできます。
(信用金庫等も同様)
⑦ 労働金庫 農協
労働組合があると、通称「ろうきん」の住宅ローンを利用できます。
労働者のための銀行なので、 他の銀行よりも労働者であれば、
有利な条件で住宅ローンを組むこともできます。
別に労働組合がない企業でも組合費を支払えば利用できます。
農協も同様です。
農協は個別の条件によっては、いい条件で融資を受けることができます。
⑧ ノンバンク・消費者金融
消費者金融は現在ほとんど住宅ローンからは手を引いています。
ノンバンクの中では、 住宅ローンを始めて銀行でもできないような長期、
低金利ローンを販売しているところもあります。
(但し審査が厳しいようですね)
⑨ 共済会・社内融資
大手企業の社員や公務員の方は、社内融資の制度を利用できます。
それぞれの融資制度において規定がありますから、
総務で情報を集めてください。
何通りかの融資の方法を書きましたが、
いろいろと決まり事がありますから、気をつけてください。
・「年収」の考え方
年収はおいくらですか?といわれてなんと答えたら言いのでしょうか。
住宅ローンに関して言えば、
(年収)=(税込年収) です。
つまり、サラリーマンの人であれば
「源泉徴収表」の左上の一番たくさん書いてある数字 になります。
自営業者等の場合は確定申告書による収入の部分です。
確定申告の場合は、
実際には経費分は差し引かれることもありますから、注意して下さい。
数字だけを見ると、案外もらっているのだな、と感じる人も多くいます。
(引かれる金額の多さに驚く人も多いです。)
・住宅ローンの掟
借りることができない人がいます。 こんな人です。
① 自己破産をして復権していない人
② 過去5年以内に金融事故
(返済をしないで督促をたくさん受けてしまった)を起こしたことがある人
③ 日本に住んでいない人(住民票が外国にある人)
④ 生命保険に加入できない人
特に②は注意して下さい。
案外、忘れていたことでも、銀行はしっかりチェックしています。
数年前に事故を起こして既に忘れていた人がいました。
事故記録が残っているので
申し込んだ銀行では融資が承認されなかったことがあります。
あと、④の人も意外にいるのです。
住宅ローンを借りる際には生命保険に加入しなくてはいけません。
その際に健康調査があります。
でも、風邪をひいているとか、手をけがしたくらいのことでは問題ないです。
・住宅ローンを組むときに、問題になる人がいます。 こんな人です。
① 自動車などのローンが残っている人
② キャッシングの実績がたくさんある人
③ キャッシング機能のついているカードを持っている人。
(使ったことがなくても)
④ 他人の融資の保証人になっている人。
他にもありますが、代表的なものをあげました。
まず、 ①の人はこれらのローンを返済してしまうことが条件につけられます。
(年収がたくさんある人はそのままでも大丈夫なこともあります)
もちろん、完済証明書を提出することになりますから、
嘘はいけませんよ。
なお、奨学金や教育ローン等はこの例に当てはまらないことがあります。
① が問題です。
本人はポイントカードのつもりで作ったら、
キャッシング機能がついていたなんてことも。
でも安心して下さい。
使ってなければ、解約すれば大丈夫ですから。
キャッシング機能とは困ったものですね。
・いくらまで貸してくれるのか?
金融機関を問わず、全体でいくらまでなら借りることができるのでしょうか。
詳細にわたる計算ができるのは
住宅ローン専門の銀行員かベテランの不動産屋さんなら一番いいのですが、
その仕組みを理解するのは少し手間です。
(事実、この仕組みを正確に理解している不動産屋さんはたくさんいません。)
そこでみんな簡単な計算方法を利用しています。
それは
(税込年収)×6~6.8=(借入見込額)
となります。
〈但し、自営業者は除く〉
ここで6~6.8というように幅があるのは何故でしょう。
金融機関の中でも公的機関以外は格差があります。
購入希望者の「属性」(勤務先の内容)でたくさん貸すか、
あまり貸さないかを決めているといっても過言ではありません。
今の世の中、一流企業でも、いつ倒産してもおかしくありません。
だから、銀行は「回収可能かどうか」を
その所属している企業の内容で「判断」しているのです。
どんなに有名な企業でも現在の状況が悪いとあまり貸してくれません。
どんなに無名の企業でも会社の内容がよければ、たくさん貸してくれます。
ここは融資の作業のなかでも「ブラックボックス」ですので、
その基準はよく分からないので、個別に金融機関に判断してもらいます。
たとえば、 年収550万円の中小企業にお勤めの32歳のお客様が
住宅ローンを申し込んだ場は、
およそ、550万円×6=3300万円くらいは大丈夫です。
と判断します。
(他の借入れ等がないという条件で)
ところが、正確に判定すると、
会社の内容がよければなんと4150万円まで融資する銀行もありす。
なんて大変な差があることでしょう。
こんなに差があると、不思議になるのも無理はありません。
が、この幅の部分は何故かは説明できないところなのです。
(銀行によってはもっと融資するところもあるくらいです。)
この問題は、その借入可能額の真偽を正確に見つめる必要があります。
できれば、
信頼できて、 ある程度金融機関に 精通してる不動産屋さんに相談するのがいいですね。
・借りすぎ注意報!
不動産を購入するときに、 お客産に対して、不動産屋さんはよくこう言います。
「実はお客様は、これだけ融資を受けることが可能です。
だから、こんな物件も買えますよ!」
なんて言って、だんだん価格の高い商品を薦めてきます。
価格が高い商品は良いに決まっています。
だって高いのですもの。
良くなければいけません。
しかし、それで納得いくのであれば結構ですが、よくよく考えてみてください。
これから、たくさんのお金を返済していかなくてはいけません。
このお金は「借金」なのです。
「たくさん借りる」=「たくさん返す」ということを忘れないで下さい。
何のためにこれから働くのですか?
決して「家」のために働くのではないでしょう。
分かっていても、この落とし穴にはまってしまう人は多いのです。
とは言っても、
あまりに慎重すぎても希望の物件にたどり着かない人もいますから、
ア○ムもコマーシャルで
「バランスのある借入計画を立てるように心がけておいてください」
と毎日いってますね!
・自己資金のお話
不動産屋さんの広告などに、
「自己資金0円でも大丈夫」
「当社提携金融機関で100%融資あります。」
なんて良く見ますね。
「上手い話は注意しろ」って言うでしょう。
購入の手続きのところで読まれたと思いますが、
不動産を購入する際には「手付金」が必要なのです。
これは一般的には現金にて支払います。
この現金が普通は50万円~100万円です。
ここで手付金が少ないと、
売主は購入意思が薄いと考えて、契約を拒否することもあります。
何とかこの問題をクリアしても、
不動産の購入全体では「本体価格+諸費用」でしたから、
本体価格以上に借入をしなくてはいけません。
金融機関は原則として本体価格以上にお金を貸してくれません。
だから、最初から資金計画が狂ってしまう可能性が高いのです。
何でこんな広告が可能かといいますと、これも金融機関の仕組みにあります。
金融機関は、「諸費用部分は考えていない」ということなのです。
つまり、諸費用分を現金で持っているのは当然!
と考えているのです。
困りましたね。
自己資金が多いほど、借入が少なくすみます。
だから余裕のある返済計画を立てることができます。
でも、それができないから困るのですね。
冒頭でも触れましたが、
自己資金が少なくても(いや、本当に0円でも)
購入できる場合もありますが、
売主様が協力してくれるものに限られるので、
選択できる物件が少ないということになります。
確かに「裏技」もあるにはありますが、 そんなものに頼っていてはいけません。
では自己資金の目安はどれくらいでしょうか。
普通は(本体価格)×20%といわれていますから、
正確には(本体価格)×20%+(諸費用)ということになります。
諸費用を8%仮定すると、3000万円の物件ですと、
3000万円×20%+(3000万円×8%)=840万円
ということになります。
これだけ自己資金をもっている人は羨ましいと思います。
では、普通はどうでしょう。
ほとんど物件価格の10%で皆様購入に踏み切っていますね。
金融商品も多岐にわたるようになってきましたので、
自己資金が若干少なくても、不動産に何とか手に届くようになってきています。
ここが不動産屋さんの腕の見せどころ?
かもしれませんね。
資金計画については個人情報も多く必要になりますので、
およそのことしか提示できないのが残念です。
しかし、「欲しい」という気持ちがあれば、
必ず手に入ることは確かなことだと思います。
本気で「欲しい」物件に出会うことができるように応援しています。
●まとめ
① 金融機関にはたくさん種類があるので、自分達に適した金融機関を選択しましょう。
② 借入可能額と借入希望額とは差があります。
本当に必要な金額を綿密に調べて余裕のある資金計画を立てましょう。
③ 自己資金はできれば本体価格の10%前後用意できるのが望ましいのです。
④ 働くのは「家」のためでは困りますね。
余裕のある返済計画をしっかりと立てるようにしましょう。